自然護岸の小川保全活動(飯能市川崎地区用水路)

当ページは、のっぽファームの所在する、飯能市川崎地区の自然護岸の

用水路(平松水線)に依存する、生き物と環境を守る活動を紹介しています。当用水路周辺は、これまで、耕作放棄地も多く、生物多様性の豊かな環境でした。

 しかし、2019年に、突如、当水路を管理している入間第二用水土地改良区が、三面張りのコンクリート護岸工事を下流から着工すると表明しました。

 理由として、近年の台風による洪水で、当水路が通過する平松地区の住宅街の住民より、不安の声があがり、川崎地区の住民への十分な説明もないまま、工事を県に要望し、補助事業として予算が下りたことが原因です。

 工事は、毎年100mずつ、計9年間継続し、すでに昨年100m護岸が2面張のコンクリート擁壁(環境に配慮した工事を飯能市と第二用水に要望したことにより、底面はコンクリートで固めない方針)となり、今年もさらに上流100mを継続して工事中です。

 既に工事済みの水路の面した田畑は、それまで、生物多様性の豊かな田んぼで、野菜の収穫も良好でしたが、工事の影響で、水はけが悪くなり、土質が硬化し、収穫量も激減した模様です。

 工事がこのまま続けば、当のっぽファームの水田にもあと、2年で

擁壁工事が実施され、収穫激減と、水棲動物の生息地域や、キツネ等の哺乳類などの貴重な水場が消滅します。

 

 現在のっぽファームは、工事補助金を支出する、埼玉県、飯能市、入間第二用水に働きかけ、工事を止めるか、環境に配慮された、地下水を浸透する石積み態様の護岸工事を要望しています。

 コンクリートに固められていない自然護岸の水路は、多くの生物たちの拠り所であり、地域の宝です。是非、豊かな生物環境を支える自然護岸を保全できるよう、みなさまのご協力をお願いいたします。

【用水路および工事個所位置図】

 

 

 

川崎地区の用水路二面張り工事個所付近の地図です。赤枠が現在工事中または工事済み箇所です(画像が小さいので拡大してご覧ください。)

一応、google地図のURLも貼り付けました。

⇒ 精明公民館 から 川崎、〒357-0011 埼玉県飯能市 - Google マップ

 

【入間第二用水土地改良区に要望書を提出しました】2021.8.30更新

更新が大変遅くなりました。

先月7月30日に、用水路工事を実施している、入間第二用水土地改良区に対して「トキの舞う、里川にふさわしい環境に配慮した護岸工事」を行うよう、要望書を賛同者28名と共に提出しました。

今後は、用水路工事の工事費1/3づつ負担する飯能市長、埼玉県知事にも要望を行う予定です。ご協力いただける方は、のっぽファームHPの、「お問い合わせ」から、ご芳名、職業、お住まいの市町村名のみお知らせいただけましたらと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 なお、要望書の内容は以下の通りです。

 

要望書

【五年後の全国トキ放鳥(環境省実施予定)にふさわしい里川環境を整えるため、飯能市川崎地区にて現在実施継続中の用水路工事は、環境に配慮された、石積み工に準じた護岸工の実施を要望します】

 

平素より、水田用水の円滑な供給をいただいておりますことを心より御礼申し上げます。

さて、先般より、私たちは、貴土地改良区が毎年、継続して実施されている飯能市川崎地区の用水路(平松水線)護岸工事について、地域の生物多様性、田んぼ土壌の健全性の維持、洪水時の護岸の安定性の観点から、「環境に配慮した工法」とされる、石積み工に準じた「ロックフレーム工(グリパック)」の実施を求めて参りました(別紙参照)。

本年2021年も、上記工事の実施を以下連名にて要望いたします。何卒ご配慮いただけますようお願いいたします。

なお、今回の要望書表題にありますように、現在佐渡ヶ島にて放鳥増殖中のトキは、着実に、その羽数を増やしており、5年後に、本土に放鳥することを環境省も表明しており、現在、放鳥にふさわしい地域を水面下で選定中とのことです。しかしながらトキが生育するに十分な環境を備えた、生物多様性が豊かで、冬季湛水が可能、除草剤等の無化学農薬の、まとまった面積の田んぼが存在する地域は、全国でも限られます。

飯能市川崎地区は「人農地プラン」に飯能市により指定され、無化学農薬による新規就農者多数により耕作されています。このため餌場などの農薬の汚染を避けなければならない、トキを放鳥する場として、潜在的に絶好の適地であると思われます。

 

しかしながら、昨年度までの工事で実施されたコンクリート2面張り(パネル式)ですと、河床を現在掘り下げても、洪水時や梅雨時の圃場水はけは、かなり不良になったため、2019年度に工事箇所となった新規就農者さんの田んぼは、米作りを中止され、一部休耕地に、他は、すべて、里芋や、野菜に転作となりました。

 

水はけが悪くなることを予想して、高畝での野菜作りに変えたと思われますが、せっかくの水路工事が、却って米作りの環境を悪化させ、農家に稲作を諦めさせる結果になることは、大変残念で同じ農家としては悲しい限りです。

また、畑に転作されてしまいますと、トキの餌となるドジョウ等が住めなくなります。水路のコンクリート2面張りだと、洪水時の流速の増加で、生息できる水棲動物は、極めて限られ、現在生息が確認されている準絶滅危惧種のシュレーゲルアオガエルおよびトウキョウダルマガエル、絶別危惧種Ⅱ類の二ホンアカガエルなどの生息も困難になると考えられます。また、上記の稲作を諦められた、新規就農者さんの田んぼでは、近年珍しくなった、ナマズの幼生も市内の他の調査グループにより確認されたと伺っています。

2018年の西日本豪雨災害の後、豪雨時のため池による水害を防止するという名目で、ため池等に接続する水路は、平野から、丘陵地にかけ、軒並み、コンクリート化されてまいりました。しかし、これは生物の多様性上も防災上も、農業経営上も決して好ましいことではありません。トキやサギが舞う、昔ながらの里山、里川の風景に、コンクリート張りの水路は、似つかわしくありません。入間・日高・飯能・狭山地域では、既に水路のコンクリート化が進んでまいりましたが、ここ、飯能市の川崎地区の護岸は、数少ない貴重な素掘りの、多くの生き物が生きてゆける護岸です。

是非、環境に配慮した石積工に準ずる工法(ロックフレーム工)または素掘り護岸を保全するという形で、トキが生きて行ける環境を保持していただきたいと思います。

 

2021730日                 

                  発起人

                   飯能市川崎地区 新規就農者 

                       のっぽファーム代表 北村行範

                  

 

                   賛同者(敬称略) 28名(氏名他略)

【第二回目(2020年度)の水路工事の結果、防災上の危険性が高まる!?】2021.4.11更新

2020年に、第二回目の工事が実施されましたが、残念ながら、前回と同様の工事です。この工事の問題としては、環境問題と田んぼの土壌への悪影響はさることながら、防災上についても、非常に問題のある工事です。

 特に、水路のパネル工設置について、狭い原水路の地形を拡幅するため、斜面を切土しています。また地下水の湧出する谷の地形については、重機による、かなり無理な埋め立てをしているところですが、こうした地形を埋め立てる場合は、それなりの排水対策が必要とされます。

 工事では、谷地地形に無理な盛り土転圧を行ったのみです。これでは大雨の際、盛り土斜面が崩壊し、土砂が用水路に流入し、田んぼまで氾濫する恐れがあります。

 また、谷地地形以外の場所もそれまで斜面の土砂を支えてきた樹木も伐採後は、切土か、転圧盛り土を実施したのみですので、降雨時に崩れる可能性があります。

このような、工事は、環境上、防災上リスクが高いので、中止または、透水性のある石積み工に準じた護岸工に切り替えるよう、県や飯能市としても働きかけるべきです。

コンクリートの擁壁やU字溝が、斜面の土砂崩壊を誘発する理由 2021.4.12更新

このことについては、近年の日本の森林が「やぶ化」する原因が、擁壁工や、U字工などのコンクリート作工物であることを造園家であり、著書「土中環境」で有名な高田宏臣氏が明快に説明されています。

 氏によれば、斜面下部でコンクリートのU字工および護岸工などが設置されると、コンクリートの気密性から、地中水分が停滞し、排水できなくなることにより、地中の空気が失われ、湛水状態による「締固め効果」により土壌の硬質化が進みます。一方、斜面の土砂移動を食い止めていた深根性の樹木は、地中の土壌環境の悪化で、根系の衰退により、委縮または、枯死します。この結果、斜面の土砂の移動が降雨の度に容易に発生、表層の土層は耕運効果で乾燥し、植生が定着しにくくなります。

 

以上 コンクリート作工物の設置➡排水不良・地中停滞水の発生

 

             ➡深根性樹種の根茎の窒息・劣化・枯死

 

             ➡深根性樹種の不在による表層土砂移動増大

 

             ➡表層は土砂移動で、耕された状態と等しく乾燥

 

             ➡乾燥により、植生は定着しにくい環境

 

             ⇒豪雨時に斜面崩壊が発生しやすい環境に

 

詳細は下記、高田氏の「地球守」コラムを参照ください。

➡ 神奈川県逗子市の斜面崩落事故現場より 緊急提言│地球守 (chikyumori.org)

 

 

【用水路に生息する動植たち】 2021.4.3更新

①ヘラブナ稚魚

上流宮沢湖からヘラブナの稚魚が多数回遊して、用水路を経て田んぼに入ります。田んぼで藻類をいっぱい食べて育つと、また用水路に戻ります。護岸がコンクリート化されると、流速が速くなり、ウグイ以外の魚類は、生息できなくなると言われます。

②シュレーゲルアオガエル

(準絶滅危惧種)

モリアオガエルに大変似たカエルで、田んぼに泡状の卵を産卵します。生息のため水田と雑木林の両方の環境を必要とします。用水路のコンクリート化や、暗渠排水工事等圃場整備で、個体が減少しています。

➡埼玉県レッドデータリスト

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/129694/13reddatabook-ryouseirui.pdf

③トウキョウダルマガエル

(準絶滅危惧種)

シュレーゲルアオガエル同様、前足の吸盤が発達していないため、用水路のコンクリート壁を登ることができず、個体が減少しています。

詳細は、埼玉県レッドデータリストまで

 

④その他、 キツネ、タヌキ、アナグマ、アライグマ、イタチ、カワセミ、オオタカ、ウグイ、など確認しています。一方、当地域の田んぼで、農家さんに、酒米水稲の作付を委託されている、市内酒造会社さんが別途生き物調査をされています。その調査結果についても、情報ご提供いただけたらと思っています。

【現行の護岸工事に面した田んぼ土壌環境の劣化について】 2021.3.26更新

2021年3月26日更新

【現行の護岸工事に面した田んぼの土壌の硬質化について】

 

さて一昨年2019年の工事のあと、工事後の水路に面した田んぼの排水や土壌に、どのような影響がみられたか、田んぼの土を掘削して、状況を確認してみました。対象の圃場は、現在緑肥(ヘアリーベッチ)が繁茂しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、水路堤防に近い場所(圃場下流側)をスコップで掘ってみました。田んぼの下流側は、砂質土壌でした。砂質土壌というと、水が引きやすい土質のはずですが、土地を耕作しているOさんによると、大雨が降ると、水の引きが、工事前と比較して、一日遅れるとのことです。

次に、Oさんの圃場の上流側を掘ってみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掘った結果です。

 先ほどの掘削地点から、わずか、10m程度の上流を掘ったにも関わらず、同程度の深さ(深さ30cm)で、砂質土壌は、やや、ねっとりした、グライ化しつつある粘性土壌になっていました。

 これが、工事による影響なのか、それとも、もともとの土壌であったかはわかりません。しかし、工事後に水はけが目に見えて悪くなるということは、グライ化(粘土質化)が工事の影響で進んだとしか、考えられません。工事の実施者である入間第二用水は、この工事は、パネルコンクリートをはめ込むものであり、パネルの隙間から、土壌の過剰な地下水が湧出するので、護岸擁壁背面に植物の生育上支障をきたす停滞水が発生することはないとしています。

 しかし、今回の土質の調査から、そのような説明は成り立たず、工事により、護岸擁壁背面に、停滞水が発生するおそれがあることが、判りました。

 

 

 

【理想の護岸、ロックフレーム工について】    2021.3.14更新

 

【ロックフレーム工とは】

当工法は、山口県の造園会社

キッコウジャパンで開発された透水フリーの擁壁・護岸工法です。

このロックフレーム工法は、キッコウジャパン代表

吉村社長が、ある時、河川中の自然の流木が組み合わさって、堅固な土留めと化したことに、ヒントを得たとされています。

※写真は同工法シリーズのうち、一番小型のユニットの

「グリパック」(商品名)です。

施工は、コンクリートユニットのフレームを配置し、吸出し防止材(スポンジ状資材等)に、割石を詰めただけのものですが、コンクリートフレームが存在するため、割石に圧縮力が働くので、割石が、フレームから飛び出したりすることがありません。

 

 2018年の西日本豪雨災害では、岸から河川への地下水を遮断する張ブロック工などの護岸は、豪雨による急激な地中水の飽和により、護岸背面の静水圧が増大し、擁壁の変形や、亀裂破損などの施設被害が、多数発生しました。ロックフレーム工については、下記ページをご参照ください

https://www.netisplus.net/news/20150513/

⇒施工例です。

 

ブランチブロック工法|キッコウ・ジャパン株式会社 KIKKOU JAPAN CO.,Ltd. (kikkouen.com)

⇒ブランチブロック工法(ロックフレーム工の前身となった工法)が

擁壁機能と生態系保全機能を持つことを解説しています。

 

【飯能市内における、理想の石積護岸について】

理想の護岸工は、岸からの地下水の浸透を妨げない、素掘り水路や、石積み護岸工です。

 写真は、飯能市下赤工の土石流危険渓流の芳野入沢です。奥深い山にもU字コンクリート工がはびこる昨今、大変珍しい石積み護岸工です。両岸は石積み護岸のため、岸から地下水が、こんこんと湧き出でており、サワガニやカジカも住みつけそうな清冽な流れです。

場所⇒飯能市立原市場小学校 から 下赤工、〒357-0126 埼玉県飯能市 - Google マップ

芳野入り沢 写真その2

 

石積み護岸工の特徴は、護岸の石のごつごつした、粗い面の存在です。

 この粗い面が、流水に接すると、摩擦力が働き、洪水時に護岸付近の流速が、著しく減速します。この減速スポットの存在が、魚類などの水棲動物が、休息する場所を提供しているのです。

 一方、コンクリート3面張、2面張りの護岸は、護岸表面のコンクリートが大変滑らかなため、洪水時、河川と護岸の間で摩擦力があまり働きません。その結果、魚類等は休む場所が無くなり、ウグイなど、急流に強い魚類以外のフナや、メダカが、コンクリート護岸舗装後、姿を消しているのです。

つづく⇒ 昔ながらの熟練の技術を要する石積み工に対して、

 コスト的に安価、技術的に施工が容易にもかかわらず、石積み工と

同等の機能を持つ「ロックフレーム工」について

 

 

透水性のある石積み工が被災しなかった例(更新作業中)

石積み工に準じた、金網に石の詰まった護岸「布団籠工」は、飯能・日高地域でも、実際に何か所か施工されています。写真は、お隣り町日高市の高麗川清流橋付近です。2019年に各地で、多大な洪水被害を出した19号台風にも関わらず、布団籠工の石積護岸は、被害をほとんど出しませんでした。写真上の遊歩道の欄干がひしゃげた様子から、いかに凄い増水であったかがうかがい知れます。

遊歩道からの写真です。欄干がみごとに倒壊しています。しかし、護岸はまったく無傷でした。擁壁背面の地下水を速やかに通過させる透水性のある擁壁がいかに防災上優れているかの一例です。

【入間第二用水の水路工事前後の様子】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真は、工事前2019年時点の様子です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工事後の様子です。護岸のパネルブロックで、地下水の動きが遮断され

停滞水が発生し、田畑の土壌の硬質化が進み、稲作等の収穫量が低下するとともに、土中微生物の減少や、護岸が滑らかなコンクリートのため、河川自体の流速が速くなり、洪水時の流速が極端に早くなり、魚類や水棲動物の住みづらい環境になってしまいました。