河川整備事業「川の国埼玉はつらつプロジェクト」の問題点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【飯能の宝、吾妻峡―飯能河原周辺の入間川生態系および景観と、土砂災害のリスクを度外視した河川整備事業(「川の国埼玉はつらつプロジェクト」)の工事計画の見直しを!】

 

 

 

 

 

飯能市長

新井重治様

 飯能市内在住の○○と申します。

先般より吾妻峡付近―飯能大橋間の入間川で実施されている、上記プロジェクトについて

 当該地域は、地質的には、関東平野の西縁丘陵である八王子高崎構造線が入間川とまさに交差する場所であり、旧岩清水付近など所謂断層崖が発達する場所です。

 また、岩根橋上流では、魚類の他、ホタルやそれに伴った、カワニナ等の水棲生物の生息地でもあります。

 このような中、遊歩道等の名目による、自然な河川の護岸を、張ブロック等、コンクリート護岸で固めて河川改修することは、工事区域の、魚類等水生生物等の個体の全滅、および生育環境の破壊に繋がります。

また、こうした地下水遮蔽型の既存工法(遊歩道を伴う護岸工)は、豪雨等の際、両岸斜面からの地下水を遮断し、急激に護岸擁壁背面の地下水圧を上昇させます。

護岸擁壁背面の急激な地下水圧の上昇は、2019年の19号台風の際、日高市高麗川の巾着田付近で発生したような、工事完了後2年足らずの護岸工の変形および破損につながりかねません(※1)。

ましてや、埼玉県の土地分類基本調査(表層地質調査)の報告から推定しますと、飯能河原から、飯能大橋までの入間川の流路は、上記、八王子高崎構造線の線形構造線の延長にあたり、地下は、埋没した断層破砕帯が多数分布している可能性があります(※2)。

一般的に、破砕帯地質では、地下水の湧出が盛んであると考えられています。

そのような場所で、護岸をコンクリート作工物で固めることは、豪雨時に地下水圧を急上昇させることに繋がり、却って斜面崩壊等の危険が増大しかねません。

また、日高市高麗川の遊歩道整備事業の結果、「遊歩道」というコンクリート作工物により風光明媚さが損なわれ、却って観光客の足が遠のいているという話も耳にしています。

既に着工している現状ではありますが、上記の生態系破壊、土砂災害、および工事により景観が損なわれる影響を考えますと、当河川整備事業は、中止の選択も視野に入れた変更計画を実施すべきかと思われます。またその変更計画を樹立にあたっては、市民にも説明会の場等、設けることが妥当と考えますので、ご配慮いただきますよう、要望します。

 (※1)「神奈川県逗子市の斜面崩落事故現場より 緊急提言」

「地球守」高田宏臣氏コラム参照

https://chikyumori.org/2020/02/21/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E9%80%97%E5%AD%90%E5%B8%82%E3%81%AE%E6%96%9C%E9%9D%A2%E5%B4%A9%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%82%88%E3%82%8A%E3%80%80%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%8F%90/

(※2)土地分類報告書(川越)埼玉県「表層地質図」参照

 

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0108/908-20091218-240.html