【2020年12月23日 川越農林振興センター農村整備部打ち合わせ記録】
出席者 先方:農村整備部長、H技師
当方:のっぽファーム代表北村
当方:(今回の訪問目的と、入間第二用水土地改良区(以下「入間第二用水」という)による平松地区の用水路工事が、自然農等の新規就農者にとって、今後の営農継続を脅かす事について説明)
先方:川越農林振興センターの土地改良区に対する立場として次の2点がある。
①土地改良法に基づき適性な運営が行われているかの指導
②農業農村整備事業の支援
当該地区は県費単独土地改良事業であり、補助金申請者の入間第二用水に対しては技術的な支援を行っている。環境に配慮した工事については、事業主体である土地改良区からの要望により支援を行うことは出来るが、県からの強制力はない。また、県は北村氏持参資料中のロックフレーム工法等の特定した工法も推奨することは困難である。
要望の概要は理解したが、その事実を証明し相手に説明して欲しい。
県費単独土地改良事業の県補助金(県単独予算)の支出条件は、「埼玉土地改良事業関係補助金交付要領」(埼玉県庁農林部長通知)にさだめられる採択基準において、かんがい排水整備事業である本地区の場合は、受益面積が2ha以上という要件(県単独土地改良事業関係別表第2(第2条、第4条関係))だけである。
当方:入間第二用水の当該事業は、9年(川越農林振興センター追記:土地改良区が行う県費単独土地改良事業による本路線の工事は令和2年度時点で2年目となります)に渡る長期の事業であることから、他の県直轄事業のように、事後評価を行うことはないか?(例えば、南小畔川の布団籠工による護岸工事など)
先方:南小畔川の工事はだいぶ以前の話だが、県単補助金を支出する当事業は、県が事業主体として行う国庫補助事業ではないので、事後評価は行っていない。
工事の完了後に行う検査において、適正に行われているか現場の完成品と、会計書類を検査指導することである。
当方:そもそもの事業内容、工法等については、承知していなかったということもある。
先方:補助事業を申請する側(入間第二用水)が総代会などの形で、営農者の承認を得て、受益対象の地域の農業者を代表して申請を行っていると理解している。
当方:当地区の総代は当時欠いている状態であったため、地域の農業者の意見は反映されていない状態である。
当方:2019年の入間第二用水への要望書で、ロックフレーム工(石積み工)がコンクリートフリュームによる工事(3面張り)と比較して、コストが低いことを示したところだが、
もしかしたら入間第二用水は、今回の比較的廉価と思われるパネル式工事で事業費を節約し、余った補助金を、他の事業に流用したいと考えていないだろうか?
先方:入間第二用水が行っている工事の横断面を見ると、大体パネル工事でもm単価は10万円程度と思われる。単年度の工事費が1000万円で、延長100mと考えると、大体いい数字(工事費を丁度使い切る)になるのではないだろうか?
ちなみに、このパネル工事は50年間位の実績があるものなので、工法自体それほど瑕疵のある内容ではないと思われる。
当方:確かにおっしゃるとおりであるが、最近の降雨強度については、気象庁も、以前と比べて30%ぐらい増加していると認めている(2017年8月17日東京新聞「2007年から2016年の期間で、1時間50㎜の大雨が3割増し」)。
また数日一か所に居座るタイプの異常な動きをする台風もかなりの頻度で発生していることから、今後この工法では、擁壁背面の土圧が急激な地下水位上昇で増大し、壁面のクラックや変形、破損といった事故も報告されることになると思う。実際、2018年の西日本豪雨災害では、日雨量900㎜を超える地域もあり、このパネル工よりも効果的と思われる張ブロック工などが、施工後10年も経たないのに、多数洗掘、変形などの受災が報告されている(2019年の日高市の巾着田下流の19号台風による張ブロック工の受災した写真と、同地区の被害が全くない布団籠工など写真で示す。「地球守」高田宏臣氏の地球守の自然読本①「土木はいのちを守れているか」を渡し、土中の気流を妨げているコンクリート作工物について説明)。
先方:土中の通気がパネル工事で悪化するという話は、初耳。
どちらかと言えば、排水路水面が田面よりよほど低い場合は、石積み工のような通気性が良い護岸だと、むしろ田んぼからの漏水が無いか懸念する。しかしながら、当該区域の谷津田のような地形は、集水しやすいので、同じ落差であれば、田んぼの水はけは、平地のそれと比較して、相対的には、劣るとは思われる。
先方:当該事業で県の補助金は33%であり、のこりは、地元負担となる。このため、環境に配慮した工事を行うためには、改良区が市に働きかけ、十分な追加予算を確保するという方法も考えられ無くも無い。
当方:土地改良法及び土地改良法施行規則等に環境に配慮する旨の記述があるが、現地はこれが図られていると思えない。
先方:環境への配慮を述べた記述は存在する。しかし土地改良法は農業生産基盤の整備を目的とした法律であり、環境配慮については強制力のあるものではない。
当方:県が、当該事業に対して、環境に配慮した技術的指導を実施出来ない理由は承知した。引き続き、市の環境会議や、入間第二用水に働きかけたいと考えている。この環境保全活動を今後につなげるためにも、本日の打ち合わせ記録を作成したい。当方で作成した内容を送るので、事実誤認が無いか、ご確認の上ご返送願いたいが宜しいだろうか?
先方:承知した。なお、今回当該工事予定区域の農業者より陳情があったことは、入間第二用水に、口頭にて伝えておく。
以上