再度市長意見書(用水路護岸保全活動)

 

【ロシア・中国の化学肥料禁輸等を踏まえ、有機農業の推進と、不要な土地改良事業(水路工)の見直しを!

 

飯能市長

新井重治さま

 

平素、お世話になっております。

 飯能市川崎地区で有機農業を営む北村です。

本件につきましては、これまで、何度かお願いしているところですが、

2019年より、暗渠工事未整備箇所が多い、川崎地区で、田んぼの用水路コンクリート化事業が続いています(入間第二用水土地改良区実施)。すでに、この事業で、工事済み箇所に隣接した田んぼで、水はけが悪くなり、作物収穫量が大幅に減少したため、当地撤退を検討している自然栽培農家(固定種野菜農家)さんもいます。

わたくしの田んぼも、あと2年で工事がはじまる予定ですが、やはり工事で水はけが悪くなってしまったら、経営的に苦しくなるので、撤退せざる得なくなります。

 

 昨年より、この事業を補助している埼玉県知事・川越農林振興センターに当地区有機農家の窮境をうったえましたが、知事は、入間第二用水の事業は、田んぼ水はけ改善と、用水路護岸の崩壊を防ぐためのコンクリート化であり、適正との回答です。知事ご回答は、わたしたち有機農業者の主張とは正反対のようです。詳細はリンクは以下をご参照下さい。

  

 当方から知事へのお願い➥

 知事から当方への回答➥

 

確かに、化学肥料等の高騰がなければ、私たちのような基本、新規の有機農業者が撤退しても、大規模慣行農家さんが、代わりに、この川崎地区に来てくれるかもしれません。

 しかし、昨年10月時点で、中国の化学肥料原料(尿素)の輸出規制(1)により国内各地の農協では、既に肥料代値上げ(肥料原料ベースで最大17%の値上げ)、そして、今年2月のロシア侵攻で、我が国がロシア・ベラルーシに25%も依存する塩化カリが、禁輸(2)となりました。

3月のロシアの発表では、禁輸期間は2か月間としています。しかし、実際の禁輸期間が1年間延長されるのか、コロナのように、2年間以上続くのか、定かではありません。そして、もし2年以上続くようでしたら、化学肥料に依存する国内慣行栽培農家は大打撃を受けかねません。

すでに、今年1月時点で、日本国内でも九州では、肥料代や資材費が

30%も増加したと報告する慣行農家さんもいます(3)。

 

日本政府の発表では、ロシア等から禁輸となった肥料は、カナダから輸入するとのことですが、そもそも限りある地下資源であり、価格の高騰はともかく、日本国内向けに充分確保できるか保証しかねないものです。

現在アメリカもカナダから小麦等の生産のため、化学肥料原料を輸入していますが、カナダの鉄道業者のストライキで、原料が入ってこないため、大変困っているそうです。(4)

鉄道がダメなら、それ以外の陸運で、と言いたいところですが、当然、鉄道での輸送より、トラック等の方が、コスト的に高くなります。また、カナダでは、トラック輸送業の少なからぬ人々が、首都オタワまでカナダ政府のワクチン強制接種反対のデモを昨年から実施しており(5)、これがどの程度影響を及ぼすのか、定かではありません。

  一方、農水省でも緊急対策事業として昨年から化学肥料で無い堆肥を利用した有機農業の推進を呼びかけています(6)。是非、飯能市も、これら肥料を巡る世界情勢を鑑み、草等を敵対視しない、有機農業の推進をお願いしたく思います。また、有機農業者(固定種野菜農家)も困惑する、土地改良事業の、中止も選択肢にいれた見直しを、入間第二用水に働きかけるようお願いいたします。なお、入間第二用水の川崎地区の工事費は毎年1000万円使って100m実施しています。

うち、飯能市の負担は、毎年333万円、この事業はあと7年続くことを考えますと、2300万円もの市の予算が私たち有機農業者(固定種野菜も含む)撤退後、肥料高で、化学肥料依存の大規模慣行栽培農業も存続できないようであれば、全くの無駄になる可能性があります。

肥料代や機械代が高騰すれば、(既にタイヤ等は値上げ)、65歳以上の年金を受給できる国内の農業者約90万人(現在国内総農業人口は130万人)が、負担増を苦に、75歳を待たずに、次々と農業を辞める可能性すらあります。

以上の点、ご配慮の上、今後、入間第二用水土地改良区への補助予算の執行をご検討いただけたらと思います。

 

(1)窒素肥料尿素の37%は中国依存

 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26251?page=2

(2)肥料の塩化カリは25%をロシア・ベラルーシから輸入

   https://www.jacom.or.jp/shizai/news/2022/03/220304-57307.php

(3)九州アスパラ農家さんyoutube (動画2:30あたりから肥料・資材費高騰の話題に)

https://ameblo.jp/ghostripon/entry-12722243969.html

 

(4)「カナダ太平洋鉄道の労働者たちのストライキにより、アメリカへの「肥料の輸出」が全面的に停止」ブレインデッドニュース2022年3月22日    ➥   https://nofia.net/?p=4363

 

(5)カナダ政府による新型コロナワクチン強制接種に反対するカナダの運送業者デモ

https://www.dailymail.co.uk/news/article-10455357/Canadas-Freedom-Convoy-march-Parliament-Hill-protest-vaccine-requirements.html(英文)

(6)農水省補助事業「令和3年度肥料コスト低減体系緊急転換事業の2次公募について」

https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/nousan/220228_141-1.html