飯能市補助の川崎地区の用水路コンクリート化工事の疑義について

【一部の農業者・地権者が著しい不利益を被ることのない、適切な農林行政の予算執行を要望します(~川崎地区の土地改良事業に対する飯能市の予算支出(補助)の構造的な問題について疑義~)】

 

 飯能市川崎地区で有機農業を営む北村と申します。

 先般より、市内川崎・平松両地区にまたがる用水路(平松水線)で、

2019年より実施されている、入間第二用水土地改良区への土地改良事業に対する飯能市の予算支出(毎年330万円程度9年間で3000万円程度の支出)について、疑義がありますため、再三、お便りいたします。

 

 現在、本工事は、30%完成したところですが、護岸のコンクリート化工事のみであり、水田の暗渠排水工を伴わないため、基本的に欠陥があります。川崎地区で稲作を数十年続けてきた80代の田んぼの地権者の方に話を伺いますと、暗渠整備をしない、コンクリート護岸工を実施すると、護岸コンクリート化をしていない素掘りの護岸と比較しても、田んぼの排水は通常悪化するとのことです。

 

すでに2019年の工事済み箇所近傍の田んぼを耕作する自然栽培農家は、工事により水田の排水環境悪化のため、

水田を諦め、一部の土地を耕作放棄し、比較的被害の少ない田んぼに高畝を築き、畑地に転換することで、かろうじて農地を維持しています。

 

 

(※写真は工事未実施区域の素掘りの用水路)

 

 この工事を実施するよう入間第二用水土地改良区(以下「土地改良区」)に陳情した方は、元土地改良区理事など、関係者に話を伺ったところ、平松地区の方とのこと。

 この方が陳情した理由は、2018年西日本豪雨災害などの脅威を受け、もしこのような豪雨が当地区をおそったら、平松地区に広がる田んぼを埋め立てた盛り土が、護岸がコンクリート化されていないため、護岸共々、崩壊し、その結果、用水路がダム化して平松地区の住宅の床下浸水など、家屋に被害を及ぼすことを懸念したためとのことです。

 

 であれば、本工事は、元田んぼの盛り土崩壊で宅地に脅威が及ぼされる可能性のある平松地区の宅地裏箇所のみ実施されるべきであります。

 

 なぜ、田んぼに隣接して、住宅がほぼ存在しない川崎地区の田んぼまでが、本工事により、田んぼとして、機能しなくなるような不当な扱いを土地改良という名目で被る必要があるのか理解に苦しみます。

 

 当該工事下流の下川崎地区は、相当以前(昭和後半?)から護岸コンクリート化は実施されていますが、暗渠排水整備もされていますので、護岸工事による排水環境悪化等は見受けられません。

 

  一方、今回の工事を決定した2018年当時の土地改良区の説明会では、川崎地区の総代が説明会直前に急死されたため、川崎地区の代表意見が反映されることなく、工事が決定されたという経緯があります。

 

 川崎地区の代表が説明会に参加できなかったがため、その意見が全く反映されず、結果として、工事で、平松地区は、住宅地裏の用水路の護岸が強化され、すでに相当以前に水路工事をした下川崎も既に暗渠排水整備が実施されているため、特に不利益はなく、川崎地区のみが、護岸コンクリート化のみの用水路整備で、田んぼの利用や、収穫量等で、著しい不利益を被っていることになります。また、昨年より、平松地区市民農園前の田んぼで、耕作放棄地を開墾して、新たに田んぼをはじめた、日高の市民団体の稲作にも、悪影響を及ぼすものと思われます。当団体は、メンバーが増えたので、今後、耕作放棄地の田んぼをつぎつぎ再開墾する意欲のある方々ですが、今回の工事は、彼らの意欲をそぐような内容です。

 

 このような一部の地区を犠牲にする補助事業に対して、そのような不利益を解消するよう土地改良区に強く要請することなく、易々として貴重な市税を投入するようなことはあってはならないことと、工事地区の田んぼの農業者として考えます。

 

 当工事の予算は、埼玉県の単独補助の「かんがい排水路整備事業」として土地改良区に支出されるものであって、本来、住宅地の防災事業そのものを目的に濫用することは認めがたいものです。

 しかし、もしどうしても防災のための予算が他に無いというのであれば、現在、使用中の田んぼが広がる川崎地区を犠牲にしてまで、工事を実施することはあまりにも乱暴なことと思います。

 現在実施されている暗渠排水整備を伴わない護岸コンクリート工は、田んぼが埋め立てられている平松地区の盛り土箇所のみで実施すべきです。

 以上から飯能市におかれましては、入間第二用水土地改良区の実施する県の補助事業によって、一部の地区の農業者が不当に、著しい不利益を被ることの無いよう、当事業への市の予算支出については、厳正にご審査いただきますようお願い申し上げます。

 川崎地区の工事沿線の農業者、地権者が著しい不利益を被らせない具体的な要件としては、もし用水路護岸コンクリート化実施しても、必ず暗渠排水整備も同時に当地区で実施するという確約を土地改良区から得ることです。 

 または工事は、水害に曝される危険のある住宅地が用水路近傍に存在する平松地区盛り土箇所のみで実施し、その危険性のない平松地区の下流および川崎地区では、工事そのものを実施しないということです。

 もちろん、他にも、選択肢はあり、田んぼの排水環境を悪化することの無い、石積み工や、布団籠工、狭い工事箇所でも布団籠工と同等か、それ以上の透水効果と護岸機能を持つ、これまで私が何度も土地改良区に提案してきた「ロックフレーム工」などの工法を採用するという方法もあるかと思います。 

 

(※写真は、工事近くの自然農の田んぼ)

なお、川崎地区の工事予定箇所近傍水田は、昨年2022年に埼玉県立自然の博物館の植物調査が入っています。調査員(博物館職員)からは、当該地は、入間地区(日高、毛呂山、越生を含む)では珍しくなった里山の絶滅危惧種等の植物相などが見受けられる貴重な地域とのことです。この調査報告は

2023年度以降博物館報として公表されるとのこと。

 また、当該地区は、昨今珍しくなった、準絶滅危惧種のニホンアカガエルの大規模な繁殖地が存在します。このような場所は、近年に至っては、単なる農地である以前に、貴重な生物多様性のある生態系として市民の財産でもあります。

 

 平地でニホンアカガエルなどが消滅した一因として多く指摘されるのは、埼玉県レッドリストなどの解説によると、多くは用水路のコンクリート化が挙げられるそうです。是非飯能市におかれましては、市民の財産である、希少野生動植物相の保全も併せて検討いただけましたらと思います。

(※図は、水路工事位置図 本年2022年度は、福祉施設「太陽の丘」の裏手まで工事は進む。同施設の裏は急峻な斜面であるが、工事は、福祉施設の真後ろも、簡易な盛り土で済ませているため、豪雨時の斜面崩壊が危ぶまれる。)